ユマニチュードとマスク
4月16日(土)に新居浜で行われたユマニチュードの講演会に参加してきました。
日本の第一人者である本田美和子先生が来られるということで、
約450名の介護・看護職員のみなさんが集まられたようです。
当初は200名の予定だったそうなのですが、希望者がどんどん増え、会場も急遽変更されたとのこと。
注目度の高さがうかがえました。
ユマニチュードは、マスコミでは「魔法の介護」というような言い方をされるのですが、
決してそうではなく、誰でもできる具体的技術であるということを、伝えられていました。
ですから、今回の演目も
「ケアすることとは何か?やさしさを伝えるケア技術」
だったのです。
「あなたは大切な存在である」というメッセージを相手に理解できる形で伝える。
これが、ユマニチュードの本質です。
当初、マスコミに「魔法の介護」と取り上げられた事は、先生にとっては、本意ではなかったそうです。
しかし、マスコミ側は、注目を集めたいから、どうしても刺激的なタイトルを使いたかった…。
どんな素晴らしい技術も、広く知れ渡り、数多く実践されなければ、もったいないので、
個人的には、注目度を高めた、いいキャッチコピーだと思っています(笑)。
ただ、そういった裏話を知らなかったので、これから伝える時には、気をつけます!
ユマニチュードの内容については、2ヶ月前のコラムで取り上げました。
また、You Tubeで「ユマニチュード」と検索すれば、たくさん動画が出てきます。
是非ご覧になってください。
※非公認の動画かもしれないので、紹介は遠慮しておきます。
さて、今回のテーマですが、介護現場でずっと気になっていることがあります。
それが、「マスク」なんです。
感染対策のためというのですが、介護現場で問題になる感染症は、
殆どが、空気感染より、接触感染や飛沫感染によるものであり、
マスクより手指洗浄や環境整備の徹底の方が、重要であること。
また、スタッフだけがマスクをしても、利用者が装着していなければ予防の意味がなく、
食事時など、時々、外したりするのなら、なお意味がなく、
スタッフは、息が苦しい思いをしながら、装着する効果が殆ど無い事実を知らない。
いつ頃から、マスクの装着が増えるようになったのでしょうかね~。
これも、メーカーの販売促進キャンペーンによるものかもしれません(笑)
マスク装着で、最悪なことは、顔の表情が全く分からず、怖いということです。
これでは、利用者とのコミュニケーションがうまくいくはずがありません。
ましてや認知症の利用者なら、なおさら難しいでしょう。
ユマニチュードでは、「不自然な程の笑顔」が大事と言われてました。
マスクをしていたら、笑顔が全く伝わりません。
さらに、スタッフ同士のコミュニケーションにも悪影響を及ぼします。
互いの表情が見えない状況では、誤解を生じやすく、
チームワークに支障をきたす可能性が高まります。
利用者に対して、快適な場、サービスを提供するためには、
良好なコミュニケーションが不可欠です。
感染症対策として、殆ど効果が期待できないマスクをするより、
それ以外の対策を徹底して行い、
顔の見えるコミュニケーションを優先する方が良いのではないかと思うのです。
長年の慣習を変え、周囲を説得するのは時間がかかるかもしれませんが、
正しい知識と明確な根拠、トップの判断と現場のスタッフの理解と行動で、
マスクのない職場、笑顔が見える職場を実現させて欲しいと願っています。