ベテラン職員が伸び悩む理由とは

2021-08-23 リリース

 

リーダーに必要とされる力

リーダーに必要とされる能力として、

「テクニカル・スキル(業務遂行能力)」

「ヒューマン・スキル(対人関係能力)」

「コンセプチュアル・スキル(概念化能力)」の3つがあります。

テクニカルスキルとは、現場で発揮される能力であり、

担当している業務を問題なく遂行するために必要な知識や技術のことをさしています。

介護職であれば介護技術や知識、

書類を作成するために必要なワードやエクセルを使いこなすパソコン活用力、

報告書等の文章作成力、マニュアルに書いていることを忠実にこなす定型業務能力などがあるでしょう。

気づき力や情報収集力、医療介護業界特有の専門知識といった能力も、テクニカルスキルにあたります。

このような業務そのものについての深い知識やスキルは、

現場に近い立場の管理職であるリーダーにとって重要な能力とされています。

 

伸ばして欲しい2つの力

ヒューマンスキルとは、

施設内外のあらゆる関係者と円滑な意思疎通をはかり、良好な人間関係を築く能力です。

基礎的なコミュニケーション力や相手の意見を理解する傾聴力、

チームを率いるリーダーシップや後輩を育成するコーチング力などもヒューマンスキルに含まれます。

他にも、意見の違う相手とうまく関わる交渉力や、相手の納得を引き出すプレゼンテーション能力など、

他人に働きかける力もヒューマンスキルのひとつです。

このヒューマンスキルは、組織の中で目標を達成するために、絶対に必要とされる能力です。

レベルの差こそあれ、全ての役職分類において、中心的な役割を果たす能力といえます。

コンセプチュアルスキルは、目の前の状況や情報を客観的に分析し、

その本質をとらえて最適な解決策を見つけ出す能力のことをいいます。

具体的には、筋の通った思考で論理的な説明をするロジカルシンキング、

物事を多角的に考察する複眼的思考力、

想定外の出来事に対しても臨機応変に対応する柔軟性や応用力、

より高度な知識やスキルを身に付けようとする探求心や知的好奇心などです。

コンセプチュアルスキルが高い人材は、ひとつの経験から多くの学びを得たり、

全く違うように見える問題の共通点を見つけて解決に導くといった特徴があります。

そのことから、より上位のマネジメント職ほど求められるスキルであるといえます。

 

20年でどうなった

介護保険がスタートして、はや20年が経ちました。

私も20年前は、ホームヘルパー2級の訪問介護員として、テクニカルスキルを磨いておりました。

この20年、同じ職場で20年以上同じ職務を続けている人もいれば、

同じ職場で施設長になった人もいる。

独立してデイサービスやグループホームを起業した人もいます。

また転職するごとにキャリアアップを重ねて、大手介護企業のマネージャー職についている人もいます。

この違いは何なのかと考えたときに、

まさに3つのスキルの磨き方の違いだったのではないかと思うのです。

本人が意識したかどうかはわかりませんが、目の前の仕事を、人任せにせず、

自分が成長することで克服しようと1つ1つ真摯に取り組んでいった結果なのかなと。

まずテクニカルスキルとして自分の業務をクリアし、

ヒューマンスキルとして仲間の協力を得る力を身に着け、

コンセプチュアルスキルを持って組織全体をマネジメントする。

私は、介護の仕事を「話せる」のがテクニカルスキル、「伝えられる」のがヒューマンスキル、

そして「語ることができる」のがコンセプチュアルスキルなのかなと感覚的に捉えています。

ベテランの介護職員さんなのに、

自分の仕事や職場に対して後ろ向きな発言が目立つ残念な方と出会うこともあるのですが、

それは、決して彼や彼女だけの問題ではなく、

こういった3つのスキルの存在やキャリアアップの方向性について、

事業所側がしっかり提示し、教育する機会はあったのだろうかと。

もし、みなさんの職場で思い当たる点があるようでしたら、

3つのスキルを切り口にアプローチしてみませんか?

 

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