出店戦略
今回は出店戦略について、他業種から学んでみたいと思います。
不況と言われる状況にあっても、それぞれの業界で、
圧倒的に成果を出している会社が、必ずあります。
そして、そういった会社の経営方針、戦略を、マネすればいいのです。
他業界から介護業界が学べることはたくさんあります。
特に飲食業界は、人材確保が難しい上に、定着率も低いという点が介護業界と良く似ています。
ありがたいことに、そういった困難を乗り越えて成功している会社というのは、
テレビの情報番組等で取り上げられて、
その成長の仕組みを、わかりやすく丁寧に説明してくれるので、大変勉強になります。
そんな中から、今回紹介したいのは、「ねぎしフードサービス」という会社です。
牛たん、とろろ、麦めしのセットを爆発的にヒットさせた飲食店で、
東京を中心に35店舗、56億円、坪あたり売上高2000万円は飲食店第1位、
2011年には日本経営品質賞を受賞しているという凄い会社です。
「100年企業への人財共育と風土づくり」というビジョンで経営されています。
このビジョンだけでも、社長の想いが十分に伝わってきます!
成長の仕組みは、たくさんあるのですが、私が一番印象に残っているのが、
その出店戦略です。
人材優先出店という考え方から、原則として1年1店舗の出店しかしないのです。
勢いに任せて、次から次へと出店するのではなく、
質の高い良い店で、地域社会にお役立ちするためには、
人の成長を待って出店しなければならないという信念なのです。
例えば、食事中のお客さんが、ちょっと席を外して、店外で携帯電話で話をする、
しばらくして、電話が終わり席に戻ると、すぐに店員がそばに来て、
「スープとご飯を温めましょうか?」と声をかけてくる…こんなサービスが随所で見られます。
ちょっとしたことですが、こんな接客が自然にできるのは、相当ハイレベルです。感動します。
私自身が受けたこともなければ、見たこともないサービスです。
接客の根本は人であり、人で始まり人で終わる。
料理の味は、どの店も究めてくるから、差別化が難しい、
だから、徹底して人づくりにこだわるそうです。
過去には、スタッフの引き抜きで、苦労されたこともあったようですが、
お金で動くスタッフは、また次のお金で動くということで、
原因を人に求めず、経営者である自分に原因があると、気づいた時、
明確なビジョンがないままに、売上目標だけを求める経営から、
「スタッフが自分達で考え、自分達のために働く店づくり」に方向転換したそうです。
そして、今では、店長30人が経営方針、経営計画を決めるという組織になっています。
「会社経営を他人事でなく、我が事としてとらえ、自分達で考えて動ける組織になった。
責任は重いが、やりがいが圧倒的に違う!」という若い店長のインタビューが印象的でした。
番組の中で、印象に残った部分を、断片的にお伝えしただけですが、
1回ではその魅力を伝えきれません。また、次回に続けます。