パワハラ防止法対策は大丈夫ですか?
パワーハラスメントの防止を企業に義務付ける法律が、
先月6月1日より施行されています。(中小企業は2022年4月1日から)
義務付けられるという点が非常に重要です。
努力義務ではなく、必須ということです。
通常でしたらマスコミで取り上げられそうなテーマなのですが、
コロナウイルスの感染者情報や豪雨による災害報道の影響か、
ニュースにならなかったので、知らない人が殆どではないでしょうか。
でも、知らなかったでは済まされませんので、対策が必要です。
パワハラとは、立場的に優位に立つ者の言動や行動で、業務上必要な範囲を超えたものを指します。
パワハラ防止法では、こうした言動に対して
「雇用管理上必要な措置を講じること」を義務付けています。
では、何をすればよいかですが、
①企業の「職場におけるパワハラに関する方針」を明確にし、労働者への周知徹底を行うこと。
②労働者からの苦情を含む相談に応じ、適切な対策を講じるために必要な体制を整備すること。
③職場におけるパワハラの相談を受けた場合、事実関係の迅速かつ正確な確認と適正な対処を行うこと。
介護現場においては、上司から部下へのパワハラよりも、
業務上必要な注意や指導をするたびに、「そんなことを言われるのなら辞めます」と、
毎回脅しのように言われる。
あるいは、ベテラン職員が集団になって、新任のリーダーさんのいうことを無視したり、
指示指導に従わないというケース。
部下が上司に対して行うパワーハラスメントで逆パワハラなんて言われています。
そして、こういったことが業務に支障をきたし、
精神的にダメージを受けているという管理者、経営者の話を聞いたりします。
本当に介護現場ではよく聞く話なんですが、
「部下が上司の指示命令に従う」というのは、会社組織の大原則ですから、
こういったことを放置しておくと組織の崩壊につながりかねない重大な問題です。
まずは「パワーハラスメントを、うちの会社は絶対に許しません」
ということを経営方針の一つとして明確に打ち出すこと。
そして、周知徹底をするためには、全職員に研修を受けてもらうのが一番です。
文書やパンフレット、ポスターで周知できるものではありません。
事業所が本気で取り組んでいるという姿勢を見せなければ、誰もついてきてくれません。
相談窓口も必要です。少なくとも、社内相談窓担当者を男女1名ずつ確保したいところです。
でも、決して相談担当者に丸投げをしてはいけません。
こちらについても、相談担当者に向けて、
相談者としての心構えとか傾聴の研修をするとか、しっかりしたサポートが必要ですよ。
介護の現場は、対人援助職ですから、非常にストレスがかかります。
だからこそ、こういった職場づくりに関する法律に対しては、
おざなりにすることなく、正面からしっかり体制づくりを行ってほしいですね。
それが、人が定着する職場をつくり、人が集まる求心力のある職場をつくるのですから。