年に1回の研修効果とは?
職場のメンタルヘルス研修などを、年に1回実施する事業所さんが、毎年結構な数あります。
1回限りで終わらせるのではなく、毎年学んでいただくのは、素晴らしいことだと思うのですが、
残念なことがあります。
それは、1年前に実施した研修の内容をスタッフのみなさんが、殆ど覚えていないことです。
詳細な内容ならともかく、ほぼキーワードに近いような言葉でも、
例えば、私が一押ししている職場の必須挨拶言葉でもある、
アリガオウタの「ア」は何でしたかね?
なんて尋ねても、見事に記憶から消されているのです(笑)
前回の復習を兼ねて、1年前と同じ内容の話をしても、
受講者が、初めて聞くかのように笑って、満面の笑顔でリアクションしてくださり、
喜んでもらえて、受講アンケートを見せていただいても、
「忘れていたことが思い出せて本当に良かったです!また来て下さい」と。
提供する側からしますと、同じような話をして、同じように喜んでいただき(苦笑)
嬉しいような、虚しいような、複雑な心境になります。
研修担当者、経営者側も、研修を実施するということ自体が目的になってしまい、
学んだことを、実際に行動してみるとか、自己変容に活かすとか、職場風土を改善する、
といった研修効果を追求する姿勢が見られないように思います。
特に処遇改善加算における資質向上研修が義務づけられるようになってから、
その傾向が強まっているように感じます。
事業所規模によっては、1回の研修で50名近くの職員さんが、
時と場を共有して学ぶような場合もあるのですが、
2時間の研修なら、実質は50名×2時間で100時間かけている研修なんですよね。
2時間の研修ではなく、参加者の人数を掛けた100時間であるということに、
もっと意識を向けて欲しいですね。
それなのに、1年経ったらほぼゼロに戻ってしまうというのでは、もったいない。
事業所にとってももったいないし、職員さんにとってももったいない話です。
研修を実施する意味が問われます。
研修しても意味がないなら、やらない方が良いという考え方になってしまいますか?
そうではないですよね。
人は教育しなければ、成長しません。介護の専門職として、知識も技術も必要です。
そして、人と関わることがメインの仕事ですから、人間関係づくりやコミュニケーションも
学ばなければなりません。
学びのないところに成長はありません。
人の成長がなければ、利用者にいいサービスは提供できません。売上の成長もありません。
さて、あなたの事業所には、どんな学びの仕組みがありますか?