ダブルケアとは?
4月29日の愛媛新聞に、ダブルケアのことが取り上げられていました。
ダブルケアとは、子育てと親の介護を同時進行で担う状況を指し、
肉体的、精神的な負担が増すことで仕事との両立が難しく、
介護費用と教育・進学費用を捻出する時期が重なることで、
経済的苦境を招くケースもあると紹介されていました。
このダブルケアに直面している人が、全国で25万人、その8割が30~40代とのことです。
子育てだけでも、大変なのに、両親の介護までとなると、その負担は計り知れません。
介護離職ゼロを目指すという政府の方針が報道されてから、
「介護離職」という言葉は、少しずつ世の中に浸透してきたような気がしますが、
この「ダブルケア」も、これから様々な場面で、問題として取り上げられてくることでしょう。
さて、そういった厳しい社会状況にあるわけですが、
グチばかり並べても、問題が解決されるわけではありません。
私たち介護業界に関わっている者としては、この状況すらも前向きに考えなければなりません。
「将来、介護離職、ダブルケアという大きな課題があるから、それに備えて、
介護自体を自分の仕事にして、真のプロフェッショナルを目指して一緒に働きませんか?」
と、高校生、大学生、転職者、求職者に対して、働きかけていくのです。
介護について、何の知識も、経験もないから、慌てふためくのであって、
自らが、介護の知識を身につけ、介護提供者となり、介護保険で利用できるサービスを知り、
適切な支援が受けられる施設、人脈を持ってさえいれば、
介護に対する肉体的、精神的な負担は、大幅に軽減できるのです。
どのような仕事をしていようと、長い人生の中で、介護という課題を避けることは誰もできません。
自分の両親がいて、祖父母がいて、親戚がいて、友人がいて、
それに、配偶者がいれば、その対象者は一気に倍増します。
そして、最終的には自分自身が介護される側になる可能性もあるわけです。
そう考えれば、介護を避けようとするのではなく、逆に正面から丸ごと受け入れてみる
というのも、前向きで、理にかなった考え方ではないかと思うのです。
「介護離職をして、介護職に就職する」という流れができると、
社会問題が社会問題を解決するという、理想的な形ができます。
決して、机上の話ではありません。これこそが現実的な考え方なのです。
ですから、介護業界が準備していかねばならないことは、
そういった、介護の仕事が初めてという転職者を、しっかりと介護のプロフェッショナルとして
育てられる教育システムと、暖かく迎え入れられる職場風土なのです。